イギリスにおける貧困問題が連日ニュースで取り上げられます。歯ブラシや歯磨き粉を買うお金がない為に歯が腐って抜け落ちてしまう子供が結構な%いるとか。服を洗えない子供たちの為に洗濯機を用意している学校が出てきているとか。子供たちが健康で清潔に暮らせるように学校側が配慮を強いられるので、学業に影響が出始めているとか。先生がポケットマネーで子供たちの面倒をみるケースが増えているとか。見ていると問題が山積しているようで、裕福な国なのに…と不思議に思います。何とかしなければいけませんね。
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さて、今回は2019円6月9日までテムズ川の南岸に位置する美術館『テートモダン』(TATE MODERN)で展示されている『DOROTHEA TANNING』展の感想です。

ドロテア・タンニング氏は、アメリカ出身の芸術家。主に1940年代から1970年代にかけてシュルレアリスムの作品を制作し、配偶者であるマックス・エルンスト氏と共にアリゾナやフランスに住み創作活動を続けたとのこと。私は全然彼女の作品を知りませんでしたが、新聞で良い評価を受けていましたし、テートから送信されるメンバー向けの情報で読んで興味を持ちました。

今回の展覧会では、彼女の25年間に亘る創作期間をいくつかの時代に区切り、部屋ごとに時代背景と共に展示しています。住んでいる場所や内面的な変化に伴い、作風が大きく変化していく様をつぶさに鑑賞できます。

初期の作品は、シュルレアリスムという言葉から私が想像する通りの印象で、細かく写実的に心象風景が描かれていました。あり得ない風景が、リアリティーを持って目前に出現するような作品。

どちらかというと硬質で冷たい雰囲気の作品が多く、ゴシック調という感じ。それがもがき苦しんでいる感じが伝わるアリゾナ時代を経て、フランス時代には、抽象的な作風になり、柔らかな色合いや線が多く使われるように変わっていったようでした。

ご本人は同じような問題意識を持って同様に制作を続けたと感じられていたようですが、私の眼には全然違う作風に映り興味深かったです。全部で1時間半でサクッと鑑賞でき、サイズ的にも疲れ過ぎず丁度良かったです。

4月上旬だったので、ロンドン・アイの前にある白い桜の並木が綺麗でした。

南岸の遊歩道はスクールトリップとヨーロッパからのイースター休暇を楽しむ人々で大賑わい。


テムズ川を眺めながらウエストミンスター~セントポール寺院を眺められる南岸の遊歩道はお気に入りの散歩道の1つ。


テートモダンのテラスからの眺め。

DOROTHEA TANNING
2019年6月9日まで展示中
詳細はテートモダンのHPにてご確認ください。