2020年11月01日

映画『Wolfwalkers』

今日も雨が降ったり止んだりが続く予報の日曜日のロンドン。昨日は午後3時ころまで雨が降り続きましたが、夕方には青空が広がりました。本日の気温も、日中は大体17℃前後で推移する予報です。
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昨晩とうとうジョンソン首相が、木曜日から始まる4週間のロックダウンを命じることを全国民に対してテレビで説明しました。昨日は朝からロックダウンに入るらしいという雰囲気をBBCが出しまくっていたので、ほぼ自宅で大人しくしていました。

とりあえずは12月2日までロックダウンをして、状況が改善したら、ティアシステムに戻るとのこと。それまでの4週間は再び食料や医薬品等の生活必需品を販売する店舗以外は全て営業が禁止されます。
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でも以前とは違って、テイクアウェイやクリック&コレクトは許可されるそうなので、来る日も来る日も3食自分が作った物以外は食べられない日々には戻らない。それだけでも3月からの厳しいロックダウンに比べると、大分楽に感じます。

そして小学校〜大学まで、学校は授業を継続できるので、ほっとしている親御さんも多いのではないでしょうか。まぁ感染の中心と言われている学生が集まる事を禁止しないことに関しては反対も大きいですし、お子さんを通わせる事を躊躇される方もいるとは思いますが。
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加えて今回はボランティアも禁止されていないので、多分このままボランティアを継続できるのではないかと希望を持っていますし(ボランティア先から正式な連絡を待っているところです)。散歩や運動の為の外出も1日1回という限定もないので、以前より随分自由がありそうに見受けられます。

これから細かいルールがはっきりしてくると思うので、何ができて・できないのかを注意深く判断していきたいと思います。ジムに行けなくなるのが残念ですが…今回のロックダウンは以前ほど影響を受けないのでは?と願っています。
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ウィーンでも昨日ロックダウンが発表されたそうで、友人が嘆いていましたが。それに対してアメリカに住む友人が「ロックダウンを発表する政府と全く何もしない政府…どっちが良いんだろうね?」と嘆き、「もう何が正解かなんて誰もわからないよね…」という話になっていました。

先日話したカルフォルニア在住の友人も「何が辛いって政府が全く何も対策を打たないことなんだよね!」と憤っていました。イギリス政府は対策を打とうと努力しているだけでも、感謝すべきなのかも?
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これ以上重症化する方や命を落とす方が増えませんように。春みたいになりませんように…。
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さて、今回はアイルランドで制作されたアニメーション映画『Wolfwalkers』の感想です。
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この作品は2020年の9月12日にトロント国際映画祭でお披露目され、イギリスおよびアイルランドで2020年10月に公開されました。12月からはアップルTVで放映されるそうなので、多くの人が観ることができるのではないでしょうか。

ロンドンでは10月26日(月)〜31日(土)までバービカン・センター(Barbican Centre)内にあるシネマで上映されていました。私が興味を持ったのは久し振りに『TimeOut』誌を貰えて、レビューで取り上げられていたから。
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「アニメといえばピクサーとジブリ…というのは古い。いつまでもその2大巨塔では寂しい。その点このアニメはアイルランド生まれで、全て手描き。そして世界にその名を轟かせるポテンシャルを感じる」というような高い評価を受けていました。知っているようで全然知らないアイルランド。

その文化や音楽が好きですし、2回旅行した際にも歴史に基づく独特な他には無い文化を感じて、もっと色々知りたいな〜と思ったものです。そんな訳でアイルランドが舞台の、アイルランド人によって制作されたアニメの映画を観るべく、今年初めて映画館に足を運んで観てきました。
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1時間42分と然程長くはない映画なのですが、それにしても観始めたらあっという間。最初から最後まで展開が早くて、でもシンプルな話と作画で情報が多すぎず、夢中で観終わりました。

デジタルを使わず全て手描きという作画が素晴らしく。絵本が動いているような優しいタッチの絵で、登場人物はアニメの可愛い感じとは全然異なる、こちらも版画を元に描かれた絵本のようなタッチで描かれていました。
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音楽はアイルランド民謡っぽいので、アイルランドの音楽が好きな人にはたまらない感じ。かくいう私もサウンドトラックが欲しい!と久し振りに思った程でした。

肝心のお話も、凄く斬新で思いつかないというものではなく、どちらかというと民話とか昔話風の懐かしい雰囲気(アイルランド民話がベースなのでしょうか?)。でも作画の妙と相まって、ジーンとするんです。
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特に狼になった主人公が、森に住む昼間は少女で夜は狼になるオオカミ少女(ウルフウォーカー)から狼として生きる方法を教わるシーンは心に響きました。

「目で見る必要なんてないんだよ!耳を澄ませば小さな生き物の動きが手にとるように解るでしょ?城壁の中で人間が何処にいるのかも、遠くから嗅ぎ分けられる。自由で縛られる必要なんてない、芳香に包まれた森での生活は、汚臭にまみれた狭い町の生活なんかより全然良いじゃない!」と教えられるシーンは、シンプルなアニメーションと相まってはっとしました。
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観終わった後は、心がホカホカして爽快。イギリスとアイルランドの悲しい歴史もさり気なく盛り込まれていたものの、歴史を知らないお子さんが観ても話の本筋ではないので問題ありませんし。

もしかしたら歴史に興味を持つきっかけになるかもしれません。環境問題がお子さんの心に大きな影響を及ぼしている今だからこそ、色々と親子で話し合うきっかけになりそうな作品でもありました。
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国と国との関係性。親子の絆。友達の大切さ。人間は自然の一部であるということ。未知のモノに対する恐怖は、暴力では克服できず、対象を理解することでしかなくならないこと。

自分や大切な人を傷つけた相手にも、もしかしたら理由や苦悩があったかもしれないということ。そして過ちや弱さを許すこと。加えて自然の残酷さや、でも共存しないと生きていけないという認識を持つことの大切さ。
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色んな事を感じられる、白黒や善悪がはっきりしていないところが、ジブリ作品と似ていると感じました。手描きに拘っているところといい、ジブリに影響を受けたのかもしれませんね。

Covid-19 の事がなければ、すぐさま夫と再び観に行こうと計画した位好きな作品でした。もの悲しくも美しい、異国の文化に触れられるアニメーション作品。お子様とご覧になってはいかがでしょうか。
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posted by london-twosome at 01:37| Comment(0) | 映画・劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月23日

ポッドキャスト『Nice White Parents』

薄曇りの予報が出ている金曜日のロンドン。午前中少しだけ太陽が出る時間がありそうですが、薄曇りが続くようです。降水確率も10%以上ある時間帯が続くので、いつ雨に降られても大丈夫な格好をして活動した方が安心そうです。最高気温は15℃。動かないと寒くて、活動すると汗をかいてしまう。悩ましい日々です。
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1.5週間ぶりに体調が回復しスーパーに買い出しに出掛けたのですが、厳しいロックダウンだった8月以前みたいに戻っていました。スーパーの入り口は閉じられていて、警備員さんがガード。お客さんが1人出てくるまで、外で並んで入るのを待ち。

マスクをしっかりしていないと入れてもらえませんし、入り口でサニタイザーで手を消毒することを求められます。でも他のお客さんに近づかないようにと注意書きがあちこちにあるのに、平気で隣に立つ人とかいるんですよね。
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自分も含めてですが、買い物をしているとどうしても商品に気を取られて、ソーシャルディスタンスが疎かになりがち。既に北部では厳しいロックダウンに逆戻りしていますし、ロンドンもそうならないように気をつけねば。

ベッドでダウンしている間に、イギリス議会において学校で子供達に無料で配られるスクールミールをクリスマス休暇中も提供する緊急措置法が否決されてしまったよう。昨日は「沢山の人が職を失い、子供達が飢えているこんな時期に政治闘争を繰り広げている場合か!」という怒りの声がSNSに溢れていました。
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各地のフードバンクが緊急アピールを出していて、ロンドンでもトッテナム等の北部地域を中心に既に資金が底をつき始めた旨のポストをしていました。我が家では最近、若者のホームレスを支援する団体とスープキッチンに寄付をしたばかり。次はクリスマス時期に寄付しようと思っていたのですが、どうしようかと様子を見ています。

今年の冬は助け合いがいつにも増して必要になりそうです。もっと体調が良ければ、フードバンクでボランティアをできるのに…各団体が出していたボランティア募集のお願いを読みながら残念に思います。
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さて、今回はアメリカにおける公立学校の不平等がなぜ起きるのか、その原因を60年間に亘る教育改革の歴史を紐解きながら探るポッドキャストシリーズ『Nice White Parents』の感想です。
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とは言えこのシリーズ。1回約1時間ずつ5回に亘る濃い内容のポッドキャストで、8月に1回ずつ聞いただけなので内容を理解しているとは言い難く。

ましてや詳細を記憶している訳では全然ないのですが、非常に印象深い内容で頭の片隅にこびりついているような感じで。多くの人に是非聞いてもらいたいと思う内容だったので重い腰を上げて書いています。
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アメリカの公立学校は、受けられる教育や設備等に大きな違いがある印象があります。それは周りの環境や生徒が持ち込む武器や暴力の違いなのだと漠然と思い込んでいたのですが。

ボランティア仲間の先生の話を聞いていたら、随分潤沢なカリキュラムや校外活動・学級図書や音楽や外国語を学ぶ機会に恵まれていることから、勝手に私立学校の話だと早合点していたにもかかわらず、アッパーウエストサイドにある公立学校の話だと知って驚きました。またどうしてもお子さんをバテリーシティにある学校に入れたいが為に、なんとかバテリーシティの物件を確保しようと争奪戦を繰り広げていた親御さんの苦闘を聞いて…そんなに?と首をひねったりもしました。
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そんな事を見聞きして、どうやら少なくともニューヨークでは公立学校の中でも受けられる教育の質が全然違うようだという印象に変わってはきていました。しかしながら、このポッドキャストを聞いて、予想を遥かに上回る不公平さに愕然としました。

かてて加えて、その原因が突き詰めれば、善意に満ちた白人の親御さんたちであるとホストのジャーナリストの女性は弾劾しているのです。ある意味衝撃の内容でした。
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未だに上手く消化しきれていないのですが…兎に角1回聞いてみて欲しい!と強くお薦めしたいポッドキャストです。誰だって自分の子供には最高の教育を受けさせたい。それは良いことのはずです。

でも人種差別や長い歴史的・組織的な構造を持つ経済/社会的地位の格差、教育に求める物の違いや『良い学校』の定義がそもそも違うこと。色々な要素がごたまぜになって、何故か善意に溢れた進歩的と言われるような白人の親御さん達が、更なる教育機会の不平等や人種的・文化的な交わりを遠ざける政策を結果的に推し進めてしまう。
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その繰り返されてきた歴史を克明に紐解いています。あまりにも歴史が繰り返しているので、あんぐりと開いた口がふさがらない気分でした。でも全然知らなかった歴史でもありました。

善意でありさえすればいい、知らなければ仕方ない、では済まされないんですよね、色々と。なんというか、とっても重い内容で精神的に疲れますし、色々考えさせられる内容ですので、気力・体力が充溢している時に是非。
posted by london-twosome at 05:40| Comment(0) | 映画・劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月21日

ロイヤル・ナショナル・シアター『アマデウス』

今日も雲ひとつない青空の火曜日のロンドン。本日の予報は晴れ。ただ午後になると雲が出てくるようです。最高気温は21℃。現在は13℃でさらっとしてとても気持ち良い気温なので、大体昨日と同じような気候になりそうです。日差しは強いので、帽子を忘れずに出かけたいと思います。
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ジョンソン首相が戻れる人は職場に戻るように促したせいか、昨日は随分住んでいる町に活気が戻ったように感じました。潰れてしまったお店はあるものの、閉まったまま休業しているお店は減りました。

出社前にコーヒーとペイストリーを買っているのかな?というような人達も見掛け、出社する人も増えているのかも…と感じました。新聞によると大企業は社員に出社するか否かの判断を任せている所が多いらしく、約1割が今週から出社するのでは?と予想していました。
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政府が新規感染率や公共交通機関の混み具合を勘案して、現在は通勤・通学・通院等の不可欠な用事がある人のみ利用を許可している公共交通機関の利用を、週明けにでも全ての人に許可するかもと発信していましたが、昨日は何の発表もありませんでした。バスや地下鉄が使えるようになると、旅行はできなくとも、少なくともキューガーデンやロイヤルパーク等に出掛けることが可能になるんですけれど。
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さて、今回は2020年7月23日(木)までYoutubeで公開されているロイヤル・ナショナル・シアター(The Royal National Theatre)の『アマデウス』(Amadeus)の感想です。
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ロックダウン中、閉鎖を余儀なくされているイギリスの劇場。なんとか寄付を募るために期間限定で作品を次々とYoutube等のプラットフォームで無料公開しています。
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バレエやオペラも他の団体から公開されますし、本も読みたい。遣りたいことがあり過ぎて、ロックダウン中時間は有り余るほどあった筈なのに、結局殆どの作品を見逃してしまいました。
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『A Streetcar Named Desire』とか凄く観たくてブックマークしていたのですが、さて時間ができたぞと思っていざ観たら既に期間が過ぎて見損なったり。結構悔しい思いをしました。
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そんなこんなで、週末版の新聞で公開予告を観てから今度こそは見逃すまいと気合を入れていたのが、国立劇場であるロイヤル・ナショナル・シアターが1979年に初上演した劇『アマデウス』。オスカーを獲得した映画は好きですが、そもそも劇が好評だったので映画にしたという事実を知りませんでした。
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今回公開されている舞台は2017年の公演。2時間46分もある長い演劇で、インターミッションが1分半だけ設けられていました。
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もとより映画よりも生の舞台が好きなので、大好きな映画の基となった演劇ということで期待値が高かったのですが。何気なく寝る前に観れるところまで観ようと鑑賞し始めたら、結局真夜中を過ぎるまで一気観してしまいました。
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舞台上で実際にミュージシャン達がモーツァルトの楽曲を演奏しながら演じているので臨場感が素晴らしく。主役2人(モーツァルトとサリエリ)は勿論のこと、モーツァルトの奥さんであるコンスタンツェを演じていた女優さんが凄く良かった!
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泣けるからいい作品というような評価は嫌いですが、悔しさに弱い私は途中からボロ泣き。観終わっても脳みそが興奮して全く眠れなくなってしまい、結局午前3時近くまで起きていました。それ程心揺さぶらさぶられる、素晴らしい作品でした。
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Youtubeのコメント欄で「私はこの公演を実際にこの目で観れたことを大変幸運に思っています。素晴らしい作品でした」と書いている方がいらっしゃいましたが、確かに生で鑑賞したら大興奮するだろうなと感じました。
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映画版の『アマデウス』と比べると長いですし、サリエリが人間臭く、嫉妬や欲望に塗れて、悪意を剥き出しにしてモーツアルトを追い詰めていきますし。モーツアルトは、より一層高飛車で高慢ちきで人の心の機微が全く解らない天才として描かれているので、とっても暗く重く、後味が悪い作品ではありますが…。
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後3日しかないので、舞台が好きな方は是非!とってもお薦めです。
posted by london-twosome at 04:41| Comment(0) | 映画・劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする